日本では、暦の上では春といいますが、正しくは暦の上では今日から新しい年、己亥年の始まりです。
己亥年にしては以前のブログで書いたのでこちらを参照下さい!
そして、イノシシ年というのは日本のみであり、中国でも韓国でも台湾でも中国でも、ブタ年です。
日本は、仏教の伝来と共に殺生禁断の思想が広まり、豚を飼育して食べるという風習がなく、野生のイノシシを捕獲して食べるのがせいぜいだったのでしょう。日本人がブタを養豚して食べるようになったのは、明治になってからということで、成程…故に日本はイノシシ年なのかと思うのです。
中華圏では、ブタは多産の象徴でもあり、また、己は土性、黄色という意味があることから、黄金のブタ年といわれているようです。
世相
この仕事をしていますと、今年の世相はどうなるか、どうすべきかと問われることがあります。
世相とは、世の中の相です。相の文字は、木と目の組み合わせで構成されています。
つまり、「木を目で見る」という字が字形になります。漢字学者、白川静氏は「樹木の盛んな生命力をそれを見る者に与え、見る者の生命力を助けて盛んにすること」と述べており、樹木の生命力と人の生命力との間に行きかう関係を意味し、助けるという意味となる。」と述べています。
「相」という文字には、「樹木と人間の間に生まれるエネルギー」という意味があります。
古代の人は、時の流れを、月齢と樹木の変化を見ながら感じたのでしょう。月齢だけだと月の満ち欠けだけなので、季節の流れはわかりません。季節とは太陽の動きであり、それを樹木のエネルギーを通して感じたということで、「相」という文字が成立したのかと想像すると、このたった一文字に深い意味を感じるのです。
干支暦学では人物把握に、実相・表相という文字を使います。
人物の性格を実相と表相で解析して、何に役立てるかというと、どのような時代に、どのような環境を与えるとその人物のエネルギーを最大限効率的に活用できるか、また、複数の人間関係のエネルギー活性率を把握することで、そのチームを生かしていくということを捉えます。つまり、環境や時代や人間との間に発生するエネルギーを把握します。相という文字は、「相性」という言葉にもつながります。相互のエネルギーを見ることで、確かにエネルギーの調整も行います。
「今年の世相を干支暦でどの捉えるか」
これは特に儒教の識緯学で発展した考え方なのですが、解釈により諸説あるのも事実です。その為、私は、それのみを鵜呑みにするなといいます。
それよりも重要なことは、どのような理論があるかということを、捉える事です。
例えば、ひとつ一番簡単な活用法を例にとって説明しましょう。先程、己亥年は 中華圏では黄金のブタ年といわれています。
今年の春節は、3500万人を超えた人たちが来日するそうです。もし、あなたがアクセサリー屋さんだとしたら、金色の可愛いブタのアクセサリーを作るのはいかがでしょうか?ボックスや包装紙には、福と赤い文字を入れておけば良いでしょう。
もし、あなたがレストランのオーナーであれば、黄金豚開運メニューなどはいかがでしょうか?
イノシシのぬいぐるみを並べても売れません。何度も言いますが、日本は明治時代に干支暦というそれまでの文化を棄ててしまいました。それにより、ある意味、アジア諸国のグローバルスタンダードの意識からずれているのです。
もし外国人投資家の動向を知りたければ、彼らは己亥年を、どう捉えられているか調べます。
先日の日経新聞に、香港の投資銀行が風水に基づく香港株の見通しを語ったという記事がありました。ブタ年は、風水によると火と水の運気が強いとされており、市場の変動は大きくなりがちで、大きな利益を求めるより、損失の最小化に注意すべきと語ったそうです。そして、注目株は火に分類訳をする通信やインターネットと言っています。
大陸風水理論は私の専門ではありませんが、先程申し上げた通り、己亥年の捉え方は諸説あります。干支暦は、3000年近くの長い時間をかけて、広大な中国大陸で育まれた考え方なので、千差万別あって当然です。
それでは、その理論は当たらないのかというと、当たるのです。
例えば、ある王様がいます。
来年はどのような年になるか、風水師や易学者など様々な賢人を国中から集めました。コンサルタントの意見など、昔から千差万別です。その中で、風水によると、来年は相場は荒れるが、通信やインターネットが良いだろう…という意見がありました。
確かに、世の中の流れ的には悪くありません。すると、王様はその株を事前に沢山買い占めました。
そして、年頭の挨拶です。
今年は己亥年だから、「インターネットや通信の株が良いだろう」と、金のブタのマークがついた真っ赤な服を着て宣言します。
「王様が言っているんだし、風水の偉い先生が言っているそうだから、間違いないだろう!」ということで、みんなも買います。
すると、インターネットや通信の株は上がりました。
そう、風水の予言通りです。
株式投資で学ぶことは、華僑の思考回路である陰陽五行論と歴史的背景です。例えば2020年 2021年 風水ではどういう予測をどういう理論で立てているのか、風水というと、占いだと思っている人が多いようですが、大陸風水は占いではなく、陰陽五行論という論理を組み合わせた地政学です。その奥義を理解するのは干支暦と同じく永い年月が必要になりますが、基本的な考え方を理解すれば、十分ビジネスには役立ちます。
実は、これからのアジア時代の到来は、日本人には有利です。歴史的に思考的な積み重ねがあるため、欧米人より理解することが出来るのです。ロシア正教やキリスト教の福音派といわれるより、文化的背景から理解しやすいでしょう。
これからの日本は、アジアをマーケットとして包括的に捉えないと生き残れません。東アジア商業圏を握るのは華僑です。
彼らの共通概念は干支であり、干支の知識は、これからの時代、必要なことだと思います。
2019年1月1日からイノシシ年が始まった…などと言っているようだと、時代に取り残されていきます。
己亥年の次は庚子年、辛丑年、壬寅年、癸卯年… 彼らは2019年 2020年 2021年 2022年とは捉えません。
干支暦の面白さと魅力を伝えることを、これからも発信していこうと思います。
今年もどうぞよろしくお願いします。