陰陽五行論(二十四節気)と薬膳料理③岡田雫

6月21日からは「夏至」です。

「夏至」とは北半球では、昼が最も長く、夜が最も短くなります。 日本では梅雨の真っ最中です。夏至とは、太陽の黄経が90度になる日です。
北半球では夏至というということは、南半球では冬至と呼んでいるそうです。つまり、夜が最も長くなります。

いつものように、まず七十二侯からみていきましょう。七十二侯とは、二十四節気を初候(初旬)・次候(中旬)・末候(下旬)の3つのセクターに分けて捉える考え方です。二十四節気を捉える時はこの七十二侯から考察すると、どういう季節なのか流れが把握できます。

運命学も同じで、年月日の干支 6文字の中に上旬・中旬・下旬を意味する二十八元という考え方が組み込まれています。古代の人はこの計算式を組み込んだことで、より深く人物が考察できるようになりました。だからこそ大変難しいのですが。

季節も同じで七十二侯を捉えることで、より深く《夏至》という季節を読み解くことが出来ます。

 

初候

乃東枯(ないとう かるる)
夏枯草が枯れる

次候

菖蒲華(しょうぶ はなさく)
菖蒲の花が咲く

末候

半夏生(はんげ しょうず)
半夏という薬草が生え始める

 

夏枯草とは、この頃に紫だった花穂が枯れて黒ずみ始めます。 そして、菖蒲が花咲きます。下旬に入ると、半夏という薬草が生え始めます。半夏は、サポニンを多量に含んでいるため、痰きりやコレステロールの吸収抑制効果・つわりの生薬としても用られていたそうです。

「乃東枯(なつかれくさかるる)」 「菖蒲華(あやめはなさく)」 「半夏生(はんげしょうず)」 植物の移り変わりが感じられる綺麗な言葉です。

続けてみますね、声を出して読んで戴くと言葉の美しさを感じます。

なつかれくさかるる、あやめはなさく、はんげしょうず。

日本語は美しいですね。

その中でも一番華やかなのは、菖蒲。菖蒲園に行くと、梅雨空に清涼感を感じます。

 

アヤメと菖蒲

あやめと菖蒲は違うのか? あやめと打って漢字変換をすると、菖蒲になります。

つまり、あやめとしょうぶはどちらも漢字にすると、「菖蒲」になります。

でも同じ菖蒲でも、あやめと菖蒲は…どうやら違うようなのです。そしてもう一つのそっくりさんに、杜若(カキツバタ)というのもあります。

この3者の共通は、すべて同じアヤメ科のアヤメ属

違いの一つは生息地で、あやめは畑のような乾燥地で栽培するのに適し、かきつばたは水辺などの湿地帯、花菖蒲はどこでも栽培できるらしいのです。

そして咲く時期は、かきつばたが5月中旬、あやめが5月中旬~下旬、花菖蒲が5月下旬~6月下旬。

これは日本の植生になりますので、日本の夏至の季節 七十二侯《菖蒲華》に咲く花は、菖蒲はショウブ(勝負)あり!ていう所でしょうか?

【何れ菖蒲か杜若】とは、どれも美しくて優劣をつけがたい。選択に迷う。という意味(大辞林 第三版)です。

恐らく男性目線・・・かな。

百合と菖蒲という選択肢ではなく、同じカテゴリーの中での選択の悩みなので、この言葉だけみると、男性の好みはあまり範囲が広くないのではないかと感じられます。

冷静に考えたら… 女性もそうかもしれませんね。

洋服でも音楽でも、全く違うタイプに心惹かれる事もありますが、結局選ぶのは同じカテゴリーの枠から出られないようにも感じるのです。

「この服、どっちがいいかなぁ。」って夫に聞いても、「どっちでもいいんじゃない?」というのは、彼からみたら、菖蒲かあやめか杜若の違いであり、同じ事が夫からの質問にも感じます。

本人からみたら「菖蒲かアヤメか杜若か! どれを選ぼうか、うーん、迷っちゃう!」という問題でも、はたからみたら「別に同じじゃん!」といったこと。

別に夫や妻に対して興味がない訳ではないのです。

その代わり、朱と黒の違いは明確に「こっちだよ」って言ってくれますが、紺と黒の違い位だと、「どっちでもいいんじゃない?」になってしまうようです。

 

さて、夏至ともなると、気温が上昇します。

また、梅雨の季節なので、湿度が高くなり、心に負担がかかると考えられます。

自然界のエネルギーが高まるので、気力のエネルギーもそれに対応して高くなります。気の力が最も強くなるため、気の充実も鍵となります。

旅行に行ったり、コンサートでパワーを得たり、お祭りで盛り上がったりなど、自分なりの気の高揚方法を見つけて下さい。

また私達の体は、暑くなると汗を出して体内の余分な熱を逃がし、体温を調節するようになっています。 しかし、汗は血液中の水分とミネラルも一緒に排出してしまうため、血液の濃度は高くなり、ドロドロと流れにくい状態になってしまいます。 汗をかけばかくほど、体温が下がって涼しく感じられますが、一方で心臓は、流れにくい血液を全身に運ぶために、フル回転しているわけです。

そのため、不正脈や動悸、息切れ、不眠、動脈硬化なども起こしやすくなります。 夏はこうした心の高ぶりを抑えるために、体内の余分な熱を冷ます「苦味」や「寒涼性」の食べ物をとると良いでしょう。

胡瓜や冬瓜、苦瓜(ゴーヤ)や西瓜などの瓜類をはじめとする旬の夏野菜(トマト、茄子、枝豆など)や果物(梅、すもも、さくらんぼなど)、水分たっぷりで水々しく、体のほてりを冷まして、喉の渇きを潤すのに最適です。 汗とともに失ったミネラルの補給源にもなります。 ただし、冷たい飲み物や果物、生野菜などの取り過ぎは、胃腸を冷やして消化能力を低下させ、食欲不振や疲労、だるさなどを招いて、夏バテの一因となります。

体のほてりは冷ましながらも、胃腸を冷やし過ぎないよう、生姜や紫蘇、大蒜などの体を温める「辛味」の薬味をほんの少し添えると、バランスがよくなります。

これら「辛味」の薬味は殺菌作用にも優れ、夏や梅雨時期の食中毒の予防にも役立ちます。 暑さで低下した食欲も増進し、消化も促進してくれます。

さて、今月のオリジナル薬膳茶です。

 

オリジナル薬膳茶♪ 「酸梅湯」

台湾、香港、シンガポールの暑い国でよく飲まれています。

解熱、解毒、便秘、咳、痰、夏バテによいといわれています。 甘酸っぱいので、お茶というよりはドリンクといった感じです。

「酸梅湯」がいつから作られていたのかはっきりとはわかっていませんが、主薬として使われている「烏梅」は漢方薬の古典中の古典である「本草綱目」にも記載があり、非常に古い歴史をもちます。

(「烏梅」の詳細は先日の染谷先生のブログ「芒種〜」をご覧下さい)

この燻製にした梅の実を煮込んだ飲み物(酸梅湯の原型)は、同時代の漢方書籍にも散見され、皇帝の夏バテ治療薬としても使われていたこともあるようです。

My Recipe

烏梅 20g、ハイビスカス(洛神花) 20g、山査子 30g、陳皮 5g、五味子2g、桂花 2g、茉莉花2g、氷砂糖 50〜70g、水1.5L)

「甘草」を使う場合が多いようですが、私は酸味が好きなので、あえて「甘草」は使わず、「五味子」を使います。
「五味子」を入れると色が綺麗に出ます。 「五味子」は韓国で良く飲まれている「オミジャ茶」の原料です。

陳皮とは、オレンジの皮です。

「烏梅」は、慢性の咳、喘息、慢性の下痢、のどの渇き、疲労回復によいといわれています。

*氷砂糖以外の材料を鍋に入れ30分煮出した後濾します。

最後に氷砂糖を入れて味を整える。 粗熱を取った後、容器に移して冷蔵庫で保存。
炭酸水や冷水で割って飲む。 お湯割りも可。 この夏の常備飲料として、是非お試し下さいね

最近夏でもマスクをされている方が多いように感じます。
夏の不調は、夏型過敏性肺炎という言葉がある位、カビが原因の起こることが多いようです。咳が長引くようでしたら、いつから、どんなときに症状が出ているのか、状況をよく把握してから、対策を考えることが大切です。
換気をしっかりとしながらの、カビ対策もしてください。

今年の夏は暑いようなので、身体にだるさを感じたら、是非、酸梅湯をお試し下さい。

以前ご案内したように、私は材料を横浜中華街で購入していますが、最近はネットでも簡単に揃うようです。
お客様をお迎えする時にも、季節を感じて戴けますのでおすすめです。
カクテルにしても素敵かもしれませんよ。

暑い夏をお洒落に楽しみながらお過ごしください。

 

♪ 岡田 雫