人之生也柔弱、其死也堅強。
萬物草木之生也柔脆、其死也枯槁。
故堅強者死之徒、柔弱者生之徒。
是以兵強則不勝、木強則折。強大処下。柔弱処上。
人の身体は、生まれた時は柔らかくて力弱く、老死に近づくにつれ堅強になる。
樹木をみても、若木は柔らかくて潰れやすいが、枯れてくると節くれたち、堅くなる。
堅い木は強く見えるかもしれないが、変化に弱く、
力まかせにでようとすると、折れてしまい、
一度折れると元に戻ることはない。
そのため、年齢を重ねてからのチャレンジは、強くでるよりも、柔軟に対処することが上策である。
暦学、運命学の教科書は古典書です。先人達はいかに生きればよいかというアドバイスを
残してくれています。
暦学という学問は、生年月日を基軸とした暦法で捉えるものは40%にしかすぎず、
その他60%は古典哲学を学ぶことにあり、
そのため私にとりましては、終わりなき学びの学問です。
年月と共に柔の質は堅になるのが自然の流れですが、
自然を良く観察すると、
全ての物事の中に、柔の部分があり、堅の部分があります。
そして、堅から柔になり、柔から堅になるのです。
例え頑固で意固地の人の中にも必ず柔の部分があり、優柔不断な人の中にも強い部分があります。
未来への道が見つからない場合も、考え方が固すぎて見つからない場合と、柔らかすぎて見つからない場合があり、
どちらの要素が強いかということの推測は、暦学の得意分野ですが、
それではどうしたら良いかということは、古典の智慧を学ぶしかありません。
今回の災害をみていても、恵みの水であるはずの柔軟な水が、比類なき強さをのある凶器になってしまいました。
このように堅強と柔弱は対比するものではなく、
同じ物の中にその2つの要素が含有され、循環論的に柔が堅になり、堅が柔になるというように
繰り返されるものであり、そのバランスが崩れると凶器にもなるのです。
ダーウィンは進化論の中で、
「最も強い者が生き残るのでも、最も賢い者が生き延びるのでもない。
ただ変化に適応した者だけが生き残る。」と説いたそうです。
柔軟な思考法とは、進化の可能性を示している指標かもしれませんが、
これからの時代は、人間が変化できるスピードを超えて変化していなければならない時代でもあるようです。
AI・5G の未来へと進化し続ける必要があるのか。
それとも、敢えて自然に即した陰陽五行論の世界へと立ち戻るのか。
その答えは、陰陽論に置き換える事で、シンプルに捉えることが出来ました。
進化と退化を陰陽に置き換えると見えてきます。
どちらが良い悪いというのではなく、進化の中に退化があり、退化の中に進化がある。
そう、バランスこそが大切です。
進化と退化のバランスとは何でしょうか。
世の中の進化する部分を取り入れるなら、敢えて退化する部分を取り入れることで、
バランスよく生きることが出来るのだと思うのです。
そして時代は常に動いているため、
どっちつかずの中途半端に立ち止まることこそが、最も危険であることも。
退化というと言葉を、
「歴史から学ぶ」という言葉に置き換えると、具体的にやるべき事が見えてきます。
私達の暦学は古典哲学の一部です。
未来へと進化していくには、古の先賢達に畏敬しながら学び続けることが大切です。
山脇史端