老子の道徳経から学ぶ【道徳経 戒強第76】

人之生也柔弱、其死也堅強。
萬物草木之生也柔脆、其死也枯槁。
故堅強者死之徒、柔弱者生之徒。
是以兵強則不勝、木強則折。強大処下。柔弱処上。

 

人の身体は、生まれた時は柔らかくて力弱く、老死に近づくにつれ堅強になる。

樹木をみても、若木は柔らかくて潰れやすいが、枯れてくると節くれたち、堅くなる。

堅い木は強く見えるかもしれないが、変化に弱く、

力まかせにでようとすると、折れてしまい、

一度折れると元に戻ることはない。

そのため、年齢を重ねてからのチャレンジは、強くでるよりも、柔軟に対処することが上策である。

 

暦学、運命学の教科書は古典書です。先人達はいかに生きればよいかというアドバイスを

残してくれています。

暦学という学問は、生年月日を基軸とした暦法で捉えるものは40%にしかすぎず、

その他60%は古典哲学を学ぶことにあり、

そのため私にとりましては、終わりなき学びの学問です。

年月と共に柔の質は堅になるのが自然の流れですが、

自然を良く観察すると、

全ての物事の中に、柔の部分があり、堅の部分があります。

そして、堅から柔になり、柔から堅になるのです。

例え頑固で意固地の人の中にも必ず柔の部分があり、優柔不断な人の中にも強い部分があります。

未来への道が見つからない場合も、考え方が固すぎて見つからない場合と、柔らかすぎて見つからない場合があり、

どちらの要素が強いかということの推測は、暦学の得意分野ですが、

それではどうしたら良いかということは、古典の智慧を学ぶしかありません。

 

今回の災害をみていても、恵みの水であるはずの柔軟な水が、比類なき強さをのある凶器になってしまいました。

このように堅強と柔弱は対比するものではなく、

同じ物の中にその2つの要素が含有され、循環論的に柔が堅になり、堅が柔になるというように

繰り返されるものであり、そのバランスが崩れると凶器にもなるのです。

 

ダーウィンは進化論の中で、

「最も強い者が生き残るのでも、最も賢い者が生き延びるのでもない。

ただ変化に適応した者だけが生き残る。」と説いたそうです。

柔軟な思考法とは、進化の可能性を示している指標かもしれませんが、

これからの時代は、人間が変化できるスピードを超えて変化していなければならない時代でもあるようです。

AI・5G の未来へと進化し続ける必要があるのか。

それとも、敢えて自然に即した陰陽五行論の世界へと立ち戻るのか。

その答えは、陰陽論に置き換える事で、シンプルに捉えることが出来ました。


進化と退化を陰陽に置き換えると見えてきます。

どちらが良い悪いというのではなく、進化の中に退化があり、退化の中に進化がある。

そう、バランスこそが大切です。

 

進化と退化のバランスとは何でしょうか。

世の中の進化する部分を取り入れるなら、敢えて退化する部分を取り入れることで、

バランスよく生きることが出来るのだと思うのです。

そして時代は常に動いているため、

どっちつかずの中途半端に立ち止まることこそが、最も危険であることも。

 

退化というと言葉を、

「歴史から学ぶ」という言葉に置き換えると、具体的にやるべき事が見えてきます。

私達の暦学は古典哲学の一部です。

未来へと進化していくには、古の先賢達に畏敬しながら学び続けることが大切です。

 

山脇史端