心は土地にあり

天地人三才論とは、東洋哲学の場合、陰陽五行説という二系統五分類法で物事を捉えるのですが、この理論は、天の恵みと地の恵みによって我々は活かされているという考え方で、一見三部類法にとらえられがちですが、「陰陽和して合と成すという」陰陽学の基本理念で成り立っている考え方なので、私的には、陰陽の和の中に人間が存在しているという陰陽理論で捉えて解釈しています。

この理論は、自然法としても捉えられ、農耕に例えて説明されています。

あなたが農業を行うとしたら、まず、考えるのは、天候と土壌でしょう。

例えば親から田舎の農地を譲り受け、退職後はそこで農業でも行おうとします。

もし、あなたがトマトが好きだからそれではトマト農園でもしようと思っても、その土地の気象条件と土壌の条件が合わなければ、トマトは育ちません。

そして、もしその土地と天候が合ったとしても、同じ畑であっても、それぞれの日の当たり方やらなにやらの環境の条件で、トマトの育成には微妙なばらつきがあります。

人材教育も同じことで、天候と土壌が重要な要素になります。

天は時代趨勢・地は社会状況と大きく捉えると、難しくなりますので、陰陽学故に、マクロ的ビジョンとミクロ的ビジョンで捉えていきましょう。国家を担う者や大企業の幹部であればマクロ的視野で物事を捉える必要がありますが、中小企業の場合は、ミクロ的ビジョンで捉えた方が解釈がしやすいでしょう。

つまり、天は何かというと、会社の理念、つまり、社長自身の言葉です。

例えば、「間違いがなく、素早く出来る社員」が欲しいと思っても、天候と土地が合わないと出来ないのと同じように、彼らへのメッセージと、環境が合わないと育成されません。干支暦学の知識があれば、十干を天 十二支を地と捉えて解析して、最初からその人物は、トマトになるのかナスになるのか、それとも野菜より牧畜をした方がよいかなど人物考察が出来ますが、それでも、天と地の条件が揃えないと、育成など不可能でしょう。

しかし、逆の視点からみると、天候も土壌も条件が幾ら悪くても農業を可能とするパーマカルチャーのような理論があり、その自然循環理論を活用すれば、砂漠でも緑豊かな大地となり豊作が可能な事が実際に実現していることを見ると、天と地は自然循環理論を上手に活用すれば変えられるという事であり、それでは自然循環理論とは何かというと、相生相剋論になるのです。

良く、相生相剋論を学ぶにはどうすれば良いかと聞かれますが、それは自然観察、状況観察 それ以外になしです。確かに書籍でも解説していますが、読めば読むほど訳が分からなくなるでしょう。これが、この学問を難しくしている一つの所以でもあるのです。

まずは、難しく考えずすべての事象を自然に置き換えてみる事が大切です。

 

今日の新聞に、「知」は書物の中にあるが、「心」は土地にあり。という言葉が書いてありました。

確かにその通りです。干支暦学の勉強会で、北から西まで日本を縦断しながら色々な方にお会いする機会を戴いておりますが、同じ知識でもその土地の人により解釈に違いがあります。この場合、知を天としたら、心は地と捉えます。知を情報と置き換えて戴くと、「情報」は書物やネットの中にありますが、「心」は土地にあり…

「心」の場所は、昔は丹田と言われ、それが心臓へとなり、今は脳だといわれていて、下から上にその部位があがってきていますが、「心」は土地にあり という言葉にしっくりきたように感じたのです。

私に多くの知識がありましても、それは知識に過ぎず、その土地の人の心に灯を与えるのは、その土地の方でしょう。心には共調性があります。故に土地なのです。

ただ、それ故に、その土地の人がその土地の方に対して言えないことも多くあります。そのような時の調整こそが、旅人である私の役割と思っております。

 

山脇史端