二十四節気 季節で感じる運命学《小寒》 染谷康宏

二十四節気 季節で感じる運命学、今回は「小寒(しょうかん)」です。

小寒は、二十四節気の第23番目で太陽黄経は285度です。

2019年の小寒期間は、1月6日から19日までとなります。

「小寒」「大寒」と続くこの時期は、1年のうちでも最も寒さが厳しく、小寒の始まる1月6日を寒の入りといいます。

「寒」とは冬至の翌日から立春前日(節分)までの期間を言うのですが、今年は1月6日に「寒」に入ったため、この日が「寒の入り」となるのです。この寒の期間にある二十四節気が、「小寒」と「大寒」になります。つまり(寒)とは「小寒」と「大寒」の2部で構成されています。

この2週間は「小寒」で、その後「大寒」へと続き、そして春がやってくるのです。

 

人日

「小寒」の期間中には、5節句の一つ「人日(じんじつ)」があります。

5節句は中国の唐の時代に定められたのですが、奇数の重なるこの日に避邪(ひじゃ)の行事を行うのです。避邪(ひじゃ)の行事とは、季節の植物やそれを使った食べ物を食べ、邪気を払うと共に、生命力をもらうという行事です。

中国では、奇数(陽)は縁起の良い日、偶数(陰)は逆に縁起が悪い日と考えられてきました。ここからが陰陽学の面白さでもあり、難しいと感じる言われなのですが、奇数が縁起が良い数字となると、奇数の重なりの日は、大変縁起が良いと通常は思います。

しかし、これは、「陽極まれば陰となる」の法則で、陽の重なりは陰となり、縁起が悪いと考えられたのです。

そのため、奇数日の重なり(陽+陽=陰)は、一見吉日に見えてもその中には不安定要素があるため、縁起が悪いとされた事とから、3月3日(上巳(じょうし)の節句)、5月5日(端午(たんご)の節句、7月7日(七夕(しちせき)の節句、9月9日(重陽(ちょうよう)の節句は要注意ということから、避邪が行われました。

人日(じんじつ)の節句は、本来1月1日に行うものでしたが、この月だけは例外的に7日を節句としたようです。そして7日に7種の野草を使い羹(あつもの)を作った。これが七種粥で、これを食べて邪気を払い豊作と無病息災を願ったのです。

日本には古来から、春の野から摘む「若菜摘」の風習がありましたが、人日の節句がこの風習と結びつき、七草粥となったと言われています。江戸時代には、一般の人々にはこの七草粥の風習が広がりましたが、明治6年の改暦で他の節句とともに廃止されてしまいました。そのため人日(じんじつ)の節句という言葉は忘れ去られ、今では、七草は正月疲れの胃腸をいたわる感覚でしか理解されていないような感じです。

七草は、薬膳としての意味をもつため、ある意味理にかなっている部分もあるのですが、暦上での理解を深めることで、本来の文化を次の世代に正しくお伝え戴ければと願うのです。

 

それでは人日(じんじつ)の節句について、少し掘り下げてみましょう。人日は、読んで字のごとく「人の日」という意味ですが人の日とは何なのでしょう。

これは晋の宗懍(そうりん)が記した「荊楚歳時記(けいそさいじき)→中国南方の荊楚地方(長江中流域)の年中行事を記したもの」の注釈文の中に、このように書かれています。

「一月一日を鶏と為し、二日を狗と為し、三日を羊、四日を猪、五日を牛、六日を馬、七日を人と為す。正旦鶏を門に画き、七日人を帳に帖す。

今日一日鶏を殺さず、二日狗を殺さず、三日は羊、四日は猪、五日は牛、六日は馬を殺さず、七日刑を行わずまたこの義なり」

別の部分には、「七日に至る間鶏を食うを忌む。故に歳首にただ新菜を食い、二日人鶏に福施すなり」などと書かれています。

つまり、一月一日に鶏を、二日に狗(いぬ)を、三日目に羊、四日目には猪、五日目に牛、六日目には馬を、そして七日目に人を占ったそうです。占いの結果は、興味深いことに、その日が晴と出れば吉なのですが、曇り(雨)ならば凶とされたのです。さらには、占った日の動物は、殺さないようにしたとのことで、七日目の人の日も同様で犯罪者も刑罰を科されることがなかったのだと言います。つまり人の日、そこから人日という言葉が来たのでしょう。

七日目の人日には、邪気を払うために七草粥を食べたのです。七日間、肉食は断ち、七日目に七草という身近な植物を食するということに、薬膳的な寒邪払いの効果もあったのではないでしょうか。

さて、皆さまは七草を全て言えるでしょうか。

私は、短歌のようにリズムを合わせて、「セリ(芹)  ナズナ(薺)  ゴギョウ(御行)  ハコベラ(繁縷)  ホトケノザ(仏の座)  スズナ(菘)  スズシロ(蘿蔔) これぞ七草」と覚えました。都市部に住んでいるとこれらの植物を目にする機会は少ないでしょうが、私の住む田舎では道端や田のあぜ道に生えている普通の植物です。スズナとスズシロは、蕪と大根なので道端でという訳にはいきませんが、あとの5種はどこでも手に入ります。また七草の名は知っている人でも間違えやすいものがあるので、改めて説明しておきましょう。

 

「セリ」は、お店でも売っているあの芹です。スズナ、スズシロは前述のとおり一般的な野菜ですから間違える人はいないでしょう。
「ナズナ」は、ぺんぺん草とも呼ばれている草です。子供のころには、種の部分をちょっと細工して音を鳴らして遊んだ記憶のある人も多いでしょう。
「ゴギョウ」は、名前だけでは映像が浮かばないという人も少なくないと思います。でもハハコグサと聞くと、あ~と思い出す人もいるかもしれません。白い綿毛が生えているので、ちょっと食べる気は起きないのですが、その昔はヨモギの代わりに草餅として食べられていたそうです。
「ハコベラ」は、普通に道端に生えているのですが目立つ草ではないので知らないと言う人も多いかもしれません。白く小さな花を咲かせていて、かわいらしい草です。最後に「ホトケノザ」です。
ホトケノザは、同じ名前の植物があるので、特に間 違えやすいです。七草ではないホトケノザは、シソ科でサンガイグサとも呼ばれています。春先に紫色のきれいな花を咲かせ、蓮華座となるような丸い葉があるのでとても目立ちます。ホトケノザというと、こちらの方がメジャーなのですが食べられませんので注意してください。七草のホトケノザは、別名コオニタビラコと呼ばれています。黄色くとても小さな花が咲きます。多くの人がホトケノザを間違えて覚えているようなので、間違えないようにしなければいけません。

 

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