あなたはプラトン派?アリストテレス派?

プラトンの魂についての記述と同じものが、インドのカタ・ウパニシャッドという経典にもあり、あらゆる幻影の生成を止滅させる方法こそヨーガである!という所まで説明できたかと思います。

ペルシャ・インド・中国・日本へと、話の軸を東方に持っていく前に、ギリシャに戻らせて下さい。

ソクラテス・プラトンときましたので、次はアリストテレス。

ギリシャ哲学が、中東からインダス川流域へと伝わったのは、アレキサンダー大王の大遠征が大きく影響しています。

アレキサンダー大王の家庭教師としても有名なアリストテレスは、紀元前367年、17歳の時にプラトンのアカデメイアに入学し、プラトンが81歳で亡くなるまでの20年間、アカデメイアで教壇に立ちます。アリストテレスはマケドニア人だったので、アテネのアカデメイアでは外国人という事になりますが、当時のアカデメイアにはギリシャ中から秀才達が集まり、学び議論を戦わせる国際的な教育機関だったようです。

この写真は、バチカン教皇庁のフレスコ画 ラファエロの最高傑作アカデメイアの風景です。何となくイメージを掴んでみて下さい。

アリストテレスは現実主義者

アリストテレスはプラトンの弟子ですが、考え方は大きく違います。大きく違うことこそが、アカデメイアの自由な校風かもしれません。

アリストテレスは現実主義で、手にとれる物の中に真の実在(本質)があると考えました。

プラトンが真の実在(本質)とは「イデア」であると言ったのに対し、イデアは実在するかどうかは確認できないものであり、触る事ができないものである。

真の実在とは、「形相」(形のあるもの)であり、「形相」と「質料」という実体のあるものにこそ、本質があると唱えました。

プラトンのイデア理論に対し、アリストテレスの形相理論はエイドス理論といいます。

ある意味、今の私達からみたら当たり前の考え方です。逆に、プラトンが非常に前進的であったという事になります。

アリストテレスは、

この形相の中に変化する「属性」があり、その「属性」の変化を「運動」と呼ぶ。「属性」がなぜ変化をするかというと、「目的」があるである。

 

空間については、「自然は真空を嫌う」と言う有名な言葉を残しています。

「実体」がないものを認めなかったアリストテレスは、実体のない虚の空間、空の世界など存在しえないと考えたのです。

宇宙観も独特で、地球から月までの「月下界」とし、月より上の「月上界」とに分けました。

月下界は、火・空気・水・土の四元素から作られ、常に変化をしている世界であり、

月上界は、第5の元素であるエーテルで作られており、不変であるとしたのです。

この考え方は、キリスト教に引き継がれ、その後約1500年以上、ヨーロッパの天文学理論として君臨していきます。

 

量子力学とプラトン

例えば、樹木の本質を、プラトンは樹木は眼に見えているがそれは幻影であり、本質は眼に見えていないイデア界にある…と述べました。

アリストテレスは、樹木の本質は樹木であり、元々は種から成長しているため、樹木の本質は、眼に見える樹木という形相と、種という質料の中にある…としたのです。

プラトンは、「空」の世界を述べており、アリストテレスは、「空」の世界など存在しない、存在しているものは実体だということになるのです。

このフラスコ画でも、プラトンは天を指し、アリストテレスは地上を指しています。

 

その後、ギリシャ哲学は、アレクサンダー大王の大遠征によりエジプトにも影響を与え、エジプトからローマ帝国に引き継がれ、西欧の思想の源泉となっていきますが、このアリストテレス理論が受け入れられていきます。

11世紀になると、スコラ哲学に引継がれ、中世のキリスト教学の教義を合理化する事に活用されたため、西欧人の考え方にアリストテレス理論は大いに影響を及ぼしていきます。

このフレスコ画も、キリスト教の本山バチカンに飾られています。いかにギリシャ哲学が、キリスト教義に影響を与えたかが分かります。

アリストテレスは、論理学から心理学・政治学・天体学・動物学・美学など多岐にわたり、合計170冊の学術書を書いています。

その為、西欧で「すべての学問の祖」というと、アリストテレスになります。

空の世界

日本人は有史以来ずっと眼に見えないものを、大切にしてきました。

世阿弥の風姿花伝では、幽玄の世界論を展開していますので、プラトンの言うイデアの世界観は、何となく感覚的に受け入れやすいのではないでしょうか。

明治時代に入ると欧州を追い、戦後はアメリカを模範として走り続けてきた私達の感覚は、今、少し…アリストテレス化しています。

実体のないものを認めてはいけない、そうしないと、豊かになれない!
西欧人のように強く豊かになりたければ、実体のあるものを作ろう!富国強兵、高度成長、バブル時代へ…と突っ走ってきて、今ここにいるような気がします。

明治維新から150年間、やはり私達が心落ち着くのは、空海であり、世阿弥であり、老子の世界観。
空の世界、精神世界、イデアの世界
禅であり、マインドフルネスであり、ヨガの世界

古典的…と思うかもしれませんが、今後恐らくこちらの考え方が最先端の科学になっていくのではないでしょうか?

プラトンのイデアの世界は、量子力学・重力波が発見されてから、大いに注目を浴びています。

実際にあることが証明されたのですから。イデア界が…。