運命学のお勧め図書、ベスト3は何かと聞かれたら、老子の《道徳経》と世阿弥の《風姿花伝》そしてプラトンの《国家》と答えます。
老子と世阿弥は、何となく分かるにしても、なぜプラトン??
哲学というと、いきなりこのブログ読むの辞めようと思っていませんか?
どうにかして数理暦学講座の授業の中では説明しきれていない、自然科学という視点の中で運命学をお伝えしたいので、もう少しお付き合いください。
まずは、プラトンに興味を持って戴きたいから、プラトンの著書《国家》のエルの神話からご案内しましょう。
ちなみに、プラトンは、ソクラテスの弟子で、アリストテレスの師匠です。
ソクラテスは文章は残していません。無知の知を唱えたソクラテスらしいのですが、ソクラテスが歴史に名を遺せたのも、プラトンのお蔭だと思います。
プラトンは、《ソクラテスの弁明》や《国家》の中で、ソクラテスを主人公として登場させ、人々と対話をする脚本みたいな書き方をしています。
師匠の考え方を、出来るだけ分かりやすく記述したのです。
ちなみに、プラトンとは本名ではなく、体格が良く肩幅が広かったから、広い=プラトンと呼ばれていたニックネームのようです。
プラトンは、英語ではPlatoと書きますから、Plate?サラオ君?お皿のような胸板だったんでしょう。《勝手な想像(^-^)!》
石工と助産婦の間に生まれたソクラテスと較べると、プラトンはアテネの超名家のお坊ちゃま。
最初は政治家を目指しますが、現実世界に嫌気が差し、28歳の頃、師匠ソクラテスの処刑というショックな出来事も起こり、哲学者の道を歩むことになります。
何となく、プラトンに興味を持ちましたか?
それではプラトンが《国家》の最終章で描いたエルの神話から始めましょう。ここではかなり大雑把にあらすじをご説明します。
エルの神話 算命学
勇敢な戦士エルが戦争で亡くなった場面から、この物語は始まります。
死後12日経っても不思議と腐らなかったエルの屍体、家族が荼毘に付そうとしたところ、いきなり蘇生し、あの世でみてきたことを語り始めます。
エルは死後、肉体を離れ、戦場で亡くなった多くの魂と一緒に霊界にいきます。
霊界に到着すると、神官に整列するように言われ、くじ引きが始まります。
「一番目のくじを引いた人は、一番最初に来世の選択ができる。人生の標本の中から、次の人生を選ぶことが出来るのだ。しかし、一度選んだら、その人生に縛り付けられ、その人生から離れることは出来ない。全責任は選んだ者にあり、当局は一切責任を持たない。」
神官はそう言い、くじを死者の魂に向かって投げます。
みんな自分の所に落ちてきたくじを拾いましたが、なぜかエルだけはくじを拾うことが許されませんでした。
来世の選択 算命学学校
こうしてエル以外の魂は、くじを引き、来世の人生を選ぶ順番が決められました。
次に、神官は人生の標本を皆の前に置きました。そこには無数の人生がありました。
有名人になる人生、独裁者の人生、イケメンや美女としての人生、アスリートの人生、大金持ちの人生、その他にも…普通の人生、貧乏な人生、動物の人生までありました。
魂たちは、次の人生を決めるため、くじの順番通りに整列しました。
そこにソクラテスが登場して、魂たちにアドバイスをします。
これらの人生の標本に、価値の優劣はない。良い悪いというものは一切ない。
来世の選択を自分で選べるからといって、分不相応なものを選ぶと、かえって不幸になる可能性があるのだぞ。それをつかいこなせるだけのエネルギーや能力がなければ、その豊かさはかえって有害になる!
権力やお金にくらむことなく、《中庸》を選びとることこそが、人間が最も幸福になる方法だ!
1番目のくじを引いた人が前に出て、ある一つの人生を選びました。それは強大な権力を持った独裁者でした。
彼は即決でその人生を選んだのでした。ルールでは一度選ぶと変更は出来ません。
選んでから、どのような人生なのか解説が入るというシステムです。
この独裁者は確かに絶対的な権力を持つのですが、様々な苦労があり、最後は自分の子供を犠牲にするという悲劇で終わっていました。
選んだ本人はドン引きします。なぜ彼はこのような人生を即決で決めたかというと、実は彼の前世は非常に恵まれており、あまり深く物事を考えることがなかったそうです。
一方、慎重に来世を選んだ者の多くは、前世でさんざん苦労をした者達です。中には人間の人生にうんざりし、動物の人生を選ぶ者もありました。
最後の残りくじになったのは、英雄オデュッセウスでした。
彼は前世で散々苦労をしたので、もはや名声を求める野心も枯れ果てていました。
最後に残っていたのは、あまりにも平凡で地味な人生でした。オデュッセウスは、もし1番のくじが当たっていても、自分は迷わずこの人生を選んだであろうといって、喜んでその人生を選択しました。
こうして来世を選び終えると、選んだ人生を成就できるように、神は全員に守護霊をつけてあげました。雷鳴がとどろき大地が揺れると、魂は流星の如く四方八方に飛翔して次の人生へと飛び立ちました。
プラトンの運命学
どうですか?プラトンの作った物語、東洋の哲人たちの言っていることと、共通点があると思いませんか?
しつこいようですが…プラトンと孔子・老子・孟子達、諸子百家は同世代。つまりほぼ同期です。
今から2500年前、ギリシャと中国に同じような考え方に至った人達が登場したのです。
同時期なので、お互いの影響はありません。
プラトンの二元論も陰陽論と似ているところがあり、非常に興味深いのです。次は出来たらそこら辺を説明したいので、是非また説明させてください。
プラトン流に考えたら、今の人生は自ら選んだもの。そして、全ての人生に守護霊がついています。
もしあなたの人生が辛いものだったら、それは深く考えないで決めた自己責任ということになります。
今回の人生は修行と思い、苦労しながらも多くの事を学ぶと、来世は慎重に選べるようになるのです。
東洋の賢人達は、選ばれし人生とはどのようなものなのか、代数理論を用いて素学的に解明していくことに挑戦し続けました。
守護霊は何か、そして来世どのような人生を選択するまで…。過去が該当していれば未来の該当率も高まりという理論で、徹底的に数値化しています。
数理暦学講座は、そんな理論を学ぶ講座です。