前回のブログで年齢別指導法についてお話ししました。
今回も年齢別には変わりはないのですが、個別指導法ではなく、各学年全体を指導する際に、私が気をつけていることについて書いていこうと思います。
学年カラーと干支暦学
私が数理暦学を学ぶ前も、講師たちとよく「この学年は落ち着きがない」「この学年はおとなしい」「⾣年⽣まれだからかバタバタする」「未年⽣まれだからかおっとりしていて優しい⼦が多い」などと、学年カラーについての話はよくしていました。
他の塾⻑と会って話す時も、やはり同じ学年に同じイメージを抱いておられる⽅が多いので、以前から何となく⽣まれた年に関係しているのだろうとは思っていました。
そして、数理暦学を学んだ今は、⼦供たちを「学年」というマクロで捉えたとき、⽣まれた年、正確には年⼲⽀(ねんかんし)の質がとても重要になっていることに気付きました!
だから「この学年は◯◯だ」と学年ごとの特徴が表れるわけです。納得!
そのことについて、今回は具体的に記していきます。
干支とは
その前に「⼲⽀(かんし)」について説明しておきます。
⽇本⼈の⼤半は「⼲⽀(えと)」というと、「⼦丑寅卯⾠⺒午未申⾣戌亥」だと思っていますよね。私も数理暦学を勉強する前はそう思っていました。実はこれは誤りです。私たちが⼲⽀と思っているのは、⼲⽀の「⽀」の部分だけです。だから、「今年の“⼲⽀”は戌です」ではなく、正しくは「今年の“⽀”は戌です」と⾔わなければなりません。
では「⼲⽀」(読み⽅は⼀般的には“えと”ですが、当協会では“かんし”と呼びます)って何?という事になり、それを説明させて下さい。
「⼲⽀」は⽂字通り「⼲」と「⽀」から成り⽴っています。
「⼲」とは「甲⼄丙丁戊⼰庚申壬癸」の10 種類(⼗⼲)で、古代中国で使⽤されていた、今で⾔う数字やアルファベット⽂字のようなものと思ってください。契約書でよく⽬にする、あの甲と⼄です。
「⽀」とは、ほとんどの⽇本⼈が「⼲⽀(えと)」だと誤って覚えている「⼦丑寅卯⾠⺒午未申⾣戌亥」の12 種類(⼗⼆⽀)です。
10 種類の「⼲」(⼗⼲)と12 種類の「⽀」(⼗⼆⽀)を組み合わせて作っていくのが「⼲⽀」です。例えば、⼗⼲の1 番⽬の「甲」と、⼗⼆⽀の1 番⽬の「⼦」を組み合わせると「甲
⼦」になります(読み⽅は、“こうし、かっし、きのえね”が⼀般的ですが、当協会では“こうぼくのね”と読みます)。
兵庫県にある甲⼦園球場は1924 年甲⼦の年に建てられたので甲⼦園と命名されました。
今年は戊と戌の組み合わせで「戊戌」です(読み⽅は“ぼじゅつ、つちのえいぬ”が⼀般的ですが、当協会では“ぼどのいぬ”と読みます)。ですから、「今年の“⼲⽀”は何ですか」と聞かれたら、先述したように「戌です」との答えは誤りで、「戊戌です」が正解です。
余談ですが、⽇本を⼀歩出ると、アジア諸国では、⼲⽀と⾔えばこの組み合わせが常識です。
3 ⽉末に韓国を訪れた時も、ガイドさんが「今年は戊戌年ですね」と話されていたのを私は聞き逃しませんでした!
このように、「⼲」と「⽀」を組み合わせていくと、10 と12 の最⼩公倍数である60 の組み合わせができます。つまり「⼲⽀」は60 種類(六⼗⼲⽀)あり、⾃分が⽣まれた年の⼲⽀に還るのに60 年かかります。還暦とは、⽣まれた年の暦が60 年で還ることを意味しているのです!
学年カラーは十二支でとるか?それとも十干か?
さて、これで「⼲⽀」の意味をわかっていただけたと思うので、本題に⼊っていきたいと思います。
前回のブログで、私は⼩学3 年⽣から⾼校3 年⽣までを指導していると書きました。ちょうど10 学年になるので、10 種類ある「⼲」が各学年ごとに振り分けられます。つまり、⼦
どもたちの⽣まれた年の「⼲」だけを⾒た場合、「甲⼄丙丁戊⼰庚申壬癸」の10 パターン(⼗⼲)が揃ったことになります。「⽀」に関しては12 種類あるので、そのうちの10 種類です。
数理暦学を学ぶ前は、学年ごとの特徴を「⼗⼆⽀」の⼀般的な意味で捉えようとしていました。
「⼗⼆⽀」とは「⼦丑寅卯…」ですね。⾣年⽣まれだと、ニワトリのイメージから「バタバタする=落ち着きがない」という捉え⽅です。それはそれで、あながち間違いではないのですが、それよりも「⼲」の質の⽅がしっかり出ていることに気付いたので、数理暦学を学んで間もない頃は「年⼲」の質の⻑所と短所を把握して、⼦どもたちの指導に⽣かそうとしていました。
ところが、ある時から「年⼲」の質を把握するだけでは不⼗分だと思い始めました。例えば、同じ「丙」でも2006 年⽣まれの「丙」と1996 年⽣まれの「丙」は違います。⽣きている時代と環境が違うので当然と⾔えばそうなのですが、数理暦学を学んでいる者としては、「⽀」が異なるためではないかと思わざるを得ません。
前者は「丙戌」で、後者は「丙⼦」です。両者とも「丙」の質がよく出ていて、太陽のように明るく楽しいことばかり考えているような集団ですが、前者は学年全体の学⼒が⾼いのが特徴で、後者は現在は社会⼈1 年⽣ですが、「⼦」の持つイメージ「⼤海」のごとく、当時からつるんで動きまわる⼦が多かったのが特徴です。
また「丙」は⽕性、「⼦」は⽔性であることからか、熱く盛り上がったかと思うと、急に冷めてシラっとした態度を⾒せるような集団でした。
このように、今は「⽀」を合わせた「年⼲⽀」の特徴を捉えるようにしています。特に特徴が顕著に表れるのが、感性が⾮常に強い特殊な⼲⽀が巡ってきた年に⽣まれた⼦どもたちの集団です。先ほどの「丙戌」などがそうです。
参考までに、2018 年現在、当塾にいる⼦どもたちの⽣まれた年の⼲⽀(年⼲⽀)を以下に記しておきます。
⾼校3 年⽣ 2000 年⽣まれ 庚⾠(こうきんのたつ)
⾼校2 年⽣ 2001 年⽣まれ ⾟⺒(しんきんのみ) 特殊⼲⽀
⾼校1 年⽣ 2002 年⽣まれ 壬午(じんすいのうま) 特殊⼲⽀
中学3 年⽣ 2003 年⽣まれ 癸未(きすいのひつじ)
中学2 年⽣ 2004 年⽣まれ 甲申(こうぼくのさる)
中学1 年⽣ 2005 年⽣まれ ⼄⾣(おつぼくのとり)
⼩学6 年⽣ 2006 年⽣まれ 丙戌(へいかのいぬ) 特殊⼲⽀
⼩学5 年⽣ 2007 年⽣まれ 丁亥(ていかのい) 特殊⼲⽀
⼩学4 年⽣ 2008 年⽣まれ 戊⼦(ぼどのね) 特殊⼲⽀
⼩学3 年⽣ 2009 年⽣まれ ⼰丑(きどのうし)
壬午の学年
2002 年⽣まれが中⼼の現⾼校1 年⽣は、13 ある特殊な⼲⽀の中でも、⼀位⼆位を争うほどの感性の鋭い⼲⽀「壬午」の年に⽣まれた⼦どもたちです。
まだ数理暦学を学ぶ前、この⼦たちを⼩学3 年⽣で指導し始めたときは、「この⼦たちは宇宙⼈か⁈」と唖然としたものです(笑)。
当時ちょうど、公⽴⼩学校教員たちの英語指導をしている時期と重なっていたこともあり、現場の教員たちからも「宇宙⼈」という⾔葉をよく聞いていたのを思い出しました!
⼀⼈⼀⼈の質は異なるので、個⼈で⾒たときは「宇宙⼈」ではなく「⼈間」なのですが(笑)、集団になると、⾯⽩いくらいに「壬午」の特徴「気分屋。じっとしていない。動きまわる。」などが出ていました!⽇⼲⽀が同じ「壬午」を持つ教師でない限りは、この⼦たちをなかなか理解できず、個の⼒で集団をまとめていくのは難しいのではないかと思ったくらいです。
私も以前はよく保護者の⽅を集めては、「こちらが想像もしないようなことをこの⼦たちは思いついて、何かしらやらかす」と話していたものです。
今は⾼校⽣になり、かなり落ち着きましたが、この⼦たちが⼩学⽣の頃に数理暦学を学んでいたら…と悔やまれます。
当時この⼦たちの年⼲⽀の特徴をわかっていたら、「静かにしなさい」「ちゃんと席に着きなさい」とガミガミ⾔わず、もっと⾝体を動かす指導を取り⼊れただろうし、瞬発⼒を利⽤して早押しクイズのようなものも取り⼊れたでしょう。また、突拍⼦もない思いつきを「今はそんなこと考えなくてもいい」と否定せず、絵で表現させるなどして、⻑所を⽣かす指導もしていたでしょうに。「壬午」の⻑所は「瞬間的に燃え上がる情熱。豊かな感受性。頭の回転の速さ。」今となっては、この学年の⼦どもたちの、集団としての素質を引き出せなかったことが、本当に悔やまれます。
丁亥の学年
この反省から、2007 年、特殊⼲⽀「丁亥」⽣まれが中⼼の⼩学5 年⽣の指導には、数理暦学の知識をできるだけ⽣かすようにしています。「壬午」同様、「丁亥」も相当に感性が鋭い特徴を持つ⼲⽀です。「壬午」が「宇宙⼈」なら、「丁亥」は「妖精」でしょうか(笑)。
イメージとしては「⽔に浮かんだキャンドル」「霧がかかったキャンドル」で、いずれにしろ今にも消えそうで消えないロウソク。繊細でデリケートな⼦が多いのが特徴です。そして、⼤⼈の顔をいつも伺っていて、⼤⼈が今何を考えているか直感的につかむ⼦が多いように思います。特に男の⼦にその傾向が強いようです。ですから、⼩学5 年⽣クラスで集団向けに話すときは、優しい⼝調を⼼掛けています。また、こちらが発する⾔葉と顔⾊が違えば、直感的に「先⽣は⼝ではこう⾔っているけど、顔では怒っている」などと、すぐに読み取られてしまうので、叱るときは裏表なく全⾝で、声を荒げることなく叱ります。もっとも、この⼦たちは「壬午」ほど叱られることはありませんが(笑)。
また、勉強好きで頑張り屋さんも多いので、クラス向けに話すときは、「コツコツ努⼒することの⼤切さ」を前⾯に出して指導しています。
己丑の学年
4 ⽉に⼊塾したばかりの、2009 年⽣まれが中⼼の⼩学3 年⽣たちの年⼲⽀は「⼰丑」です。⽇⼲は様々なので、個々の質は異なりますが、やはり集団でみると、とても庶⺠的で気さくで、親しみやすい「⼰」の特徴がしっかり出ています。
男⼥ともに仲が良く、あまり競争⼼がありません。まだ私も様⼦を⾒ながら指導⽅法を模索している最中ですが、恐らく春の訪れをじっと待つ早春の湿⼟「丑」のごとく、忍耐⼒と持続⼒がある⼦が多いだろうと予測はつくので、「継続は⼒なり」を指導の軸にと考えています。
また、競争⼼を煽るようなやり⽅はしないようにとも思っています。
以上、個別指導法とは別に、集団指導の際に気をつけていることをお話しさせていただきました。
時代は常に変わり、⼦どもたちを取り巻く環境も年々変わっています。先⼈たちが残した⼲⽀暦の統計データは膨⼤で、精度も⾼いのですが、これからの時代により活用できるように、再考察する必要があるかと思います。
そのためにも、私は⽣⾝の⼦どもたちを通して、過去のデータと照合しながら、活⽤できる部分は活⽤し、修正する部分は修正し、21 世紀を担う⼦どもたちの育成に尽⼒したいと思っています。