干支暦学には、親子の関係を見る方法として、多くの捉え方があります。
太古の昔から、先人達は親子関係に大いに悩みました。親子の悩みは不変です。
特に、権力者にとっては、誰を次の継承者にすべきかは、国の存亡にかかわる大問題であり、最も大切な問題だったようです。
そのため、学者達を集め、子供の運勢を推測する様々な《技法》が開発されてきましたが、《技法》はあくまでも《技法》に過ぎません。
実際は、生きている人物の考察なので、時代と環境を吟味しながら、大きく捉える必要があるのです。
今回は、私が⻑年⽣徒たちを⾒てきて、学校や塾などで指導者的⽴場にある者として、《干支暦学》を活⽤する実践的⽅法についてお話していこうと思います。
6月から広島でも教室が始まります。
このブログを理解しづらいところもあるかもしれませんが、恐らく夏休み頃には、フムフム…こうやってわが子に接すればいいのね…とお分かり戴けるかと思いますので、楽しみにしてください。
今年の夏休みは、お子様の能力開発にこの知識をお役立て戴けたらと思います。
《干支暦学》教育現場の実践方法
まず、私は、⽣徒たちの⼈物把握をする際、年齢別に3 グループに分けて⾒ていきます。
第1 グループは⼩学⽣、第2 グループは中学⽣、第3 グループは⾼校⽣です。
当塾には⼩3から⾼3 までの⽣徒たちがいますので、第1 グループは⼩3 から⼩6 になります。
各グループ毎に、命式中のどの部分を重点的に⾒て指導していくかは異なるのですが、その話をする前に、私たち数理暦学協会で出す命式の解説を簡単にさせていただきます。少しお付き合いください。
当協会では⽣年⽉⽇を⼲⽀暦を使って表します。
聞きなれない暦だとは思いますが、実は明治4 年までは⽇本でも暦は⼲⽀暦が使われていました。
時代劇などで、「丑の刻」というような言い方をしますね。明治までの日本は、時を刻むのに、東洋数字という干支が使われていたのです。
例えば、今⽇2018年5月28日を⼲⽀暦で表すと、戊戌年丁巳月庚申日です。
⼲⽀暦で表された⽣年⽉⽇の部分は、⽣まれた時に備わった質(素質)を表し、当協会では「実相」と呼びます。
そして、⽣まれた時に与えられた「素質(実相)」は、周囲の環境や時代の影響を受けることでカスタマイズされ、それがその⼈物の「性格」となります。
東⻄南北と中央の5つの星で構成されており、当協会では「表相」と呼びます。社会を表としたら、表に見せる顔と理解してください。
「実相」は⽣まれた時に与えられた質なので無意識本能です。
そのため、家族や⾝近な⼈には理解できても、⾃分⾃⾝は気付きにくい質でもあります。
では、「表相」はどうでしょう。
これは、家族や友達など、成⻑過程における周囲の環境の影響で⽣まれる⾃覚であり、有意識本能です。
また、有意識なので表に⾒える性格でもあり、だからこそ私たちは「表相」と呼んでいるのです。
この他に、誕⽣時の⼲⽀配列から計算して出す「エネルギー指数」、「⾏動領域」などを用います。
これで、人物像をまずは大きく掴んでいくのです。
「実相」→⽣まれながらの質・無意識本能
「表相」→周囲の環境や時代の影響を受けて⽣じる、表に⾒える性格・有意識本能
「エネルギー指数」→誕⽣時の⼲⽀配列により計算された、⾝体の所有するエネルギー
「⾏動領域」→⼲⽀番号を結んでできる三⾓形の⾯積で、個⼈の⾏動範囲を表す
これで、4つの⾔葉の意味がわかっていただけたかと思います。
それでは、3つに分けたグループ毎の指導法を具体的に説明していきます。
第1 グループ(⼩学3〜6 年⽣)
第1 グループの⽣徒たちは、親の影響を最も受けています。
社会との接点がほとんどないため、⽣まれながらの質である実相の意味が中心であることに、気づきました。
そのため、現在第1 グループは⽇⼲の質に重点を置いた指導法をしています。具体的には、⽇⼲の質を引き出す指導法をしています。
⽇⼲「⾟」、表相中央「⾃⽴」の⼩6 男⼦がいます。「辛」とは、宝石を意味します。
⼩3 から指導していますが、「⾟」らしく、プライドが⾼く品⾏⽅正です。とても真⾯⽬で優等⽣ですが、デリケートで傷つきやすい⾯もあります。
⼩6 になって、マイワールドに閉じこもり、マイペースで物事を進める「⾃⽴」部分がたまに出るようになりましたが、まだまだ「⾟」が占めています。
⾃然界で例えると「⾟」は希少価値の⾼い「宝⽯」です。⽔で研磨し輝かさなければ、ただの「⼩⽯」で終わってしまいます。ですから、この⼦にはまず知性(癸)を⾝につける必要があると思い、読書を勧めています。
幸い、歴史物が⼤好きな⼦に育ってくれているので、教室内にある「⽇本の歴史」シリーズを貸し出したりしています。
英語塾なのに、「⽇本の歴史」?と、今思われましたよね。実は、私は⽇本⽂学科出⾝の異⾊の英語教師なので、英語教育のベースには⽇本語教育があります。
そのため、⼦どもたちには⽇本⽂学や⽇本史を知ることの⼤切さを常⽇頃から話し、⽇本⼈として誇りを持って海外に⽻ばたいて欲しいと考えています。そんな強い思いがあるため、あえて教室内には英語ではなく、⽇本語の本をたくさん置いて、いつでも読めるようにしてあります。
話が逸れました(汗)元に戻します。
そして、この「⾟⾦」くんに対しては、上⼿くできたことは少し⼤袈裟なくらいに褒めて、得意部分を伸ばして、⾃信をつけさせるようにも指導しています。
クラスのみんなの前でミスをすると隠れて泣くこともあるので、ミスをした時は「⼤丈夫だよ。」と⼀⾔声をかけて、帰り際に本⼈の側に⾏き「先⽣は◯◯くんが誰よりも発⾳が良いことを知ってるよ」と、秀でた点を褒めてあげて、とにかく⾃尊⼼を保たせるように⼼掛けています。
第2 グループ(中学⽣)
第2 グループは、周囲の環境の影響を徐々に受け始めるため、カスタマイズされた表相部分の性格が出てきます。
しかし、思春期真っ只中の中学⽣は個体差がかなりあり、まだ⽣まれながらの質がかなり残っている⼦、実相と表相の質が半々に出てくる⼦、実相の⽇⼲の質はほとんど出ず、表相の性格だけが出てくる⼦の3 グループに分かれます。
そこにエネルギー指数、⾏動領域を⾒て指導法を調整します。
世に⾔う反抗期にも⼊っている⼦が⼤半なので、この時期の⼦どもたちの指導が最も⼤変です。
⽇⼲「⾟」、表相中央「創造」の中2 ⼥⼦がいます。⼩学⽣の時は、先述した⼩6「⾟⾦」くんと同様、エリート意識が⾼く品⾏⽅正なのですが、とても傷つきやすいため、失敗を恐れて、何かに挑戦することを極端に避けてしまうような⼦でした。今でもそのような部分がチラチラするのですが、最近は「創造」の質の⽅がよく出ていて、さほど失敗を恐れることなく、興味あることに挑戦してみるようになりました。また、ついこの前まで海外に全く興味がなかったのが、「外国でホームステイしたい」「⾼校留学したい」と⾔い始めたため、その思いを育むような指導をしています。
具体的には、実際にパンフレットを取り寄せて⾒せたり、パソコンで留学サイトを⼀緒に⾒たりして、海外への憧れや夢を膨らませ、その⽬的達成のために勉強するという指導法です。
⽬的が明確だと「創造」の質はしっかり稼働します。もちろん、本質部分は「⾟」なので、できた点は褒めちぎり、プライドを持たせることは忘れません。
第3 グループ(⾼校⽣)
最後の第3 グループは、親より家庭外の周囲の影響の⽅を強く受け始めるので、無意識の実相部分の質はほぼ表には出てきません。
本⼈も⾃覚ある、表相中央の質が⾊濃く出てきます。
私は⼤半の⼦どもたちを⼩3 から⾼3 までの10 年間指導しているので、親御さんと同じくらいに⼦どもの変化に気づいています。
⽇⼲「癸」、表相中央「実践」の⼥の⼦がいます。⼩学⽣までは本好きでコツコツ努⼒する勉強家。どちらかというとおとなしい⼦だったのが、徐々に男勝りな性格が出始め、⾼校⽣の今は「あんなに⼩さい頃は座って本を読んだり、勉強も計画的にしていたのに、今じゃ、じっとしていられない体育会系⼥⼦。
勉強も⼀夜漬け勝負」と、「癸」の質はどこへ⾏ったのやら?状態です(苦笑)
エネルギー指数も300 超え、⾏動領域も広範囲のため、本当に驚くほどエネルギッシュに動き回っています。
この⼦に対しては、いくら「癸」であっても、今は「実践」を稼働させるような指導法をしています。
例えば、具体的な⽬標数値(英単語100 語覚えるなど)を提⽰し、それをできるだけ短期間で達成するように⾔います。覚え⽅も、覚えるまでノートにコツコツ書くのではなく、10 分なら10 分と制限時間を決め、その時間内にいくつ覚えられるかというように、⾃分を駆り⽴てるような⽅法を教えました。すると、闘争⼼が湧いて、集中して覚えるようになりました。ただ、本質は「癸」なので、頭も良く努⼒家であることには変わりはありません。またこの⼦はエネルギー指数が⾼いので、試験前などは⼀夜漬けも平気でできるため、⼀夜漬けは⽌めません。低い⼦は⽌めます。そうでないと、肝⼼な試験中に睡魔に襲われ、寝てしまうこともあるからです。
このように、第3 グループの⽣徒の指導は、表相中央に重点を置き、中学⽣と同じく、エネルギー指数、⾏動領域を⾒ながら、個⼈に合った指導法を考えます。
以上、私が教育現場で実践している数理暦学の活⽤法の⼀つです。
また問題を抱えている⼦は、ここからさらに詳しく解析していき、指導法を模索しています。
最後に、わかりやすいように、私が実践しているグループ毎の指導法をまとめておきます。
小学生 | 実相・日干中心の指導法 |
中学生 | 実相(日干)+表相(中央)+エネルギー指数+行動領域 |
高校生 | 表相(中央)+エネルギー指数+行動領域 |
如何でしたでしょうか?子供の場合、成長過程に応じて技法を使いわける必要があるのです。
幼児期・学童期は、無邪気に自分の思った通りですんだ為、実相の世界だけで良かったのですが、成長し、社会のしがらみを感じるようになると、表相という二つ目の顔を有するようになるのです。
そのジレンマに苦しむ姿こそ、思春期。
実相と表相の意味がかけ離れている子供程、自分自身に対してどうしようもない気持ちを抱いてしまうのでしょう。
陰陽差が激しい方が苦しみますが、同時に魅力も生まれてきます。
がんばれ!子供達!!