先日、数理暦学協会広島支部長のSeewer瑞恵先生が、韓国のご旅行に行っていらっしゃいまして、その際に感じられたお話がとても興味深い事でしたので、ご紹介させて戴きます。
Seewer瑞恵先生は、韓国ドラマファン。
韓国ドラマの中には私達日本人が忘れている陰陽五行論の世界をたくさん垣間見ることができます。
その文化を通して多くの同世代の女性達、フリーダム世代の女性達に陰陽五行論という学問に興味を持って戴きたい。
そして、日本に昔からある陰陽五行論の考え方を取戻し、それがこれからの日本人の考え方の指針のなること、アジアへの理解を深めることに繋がればということで、今回から教育論と共に韓国ドラマの中に描かれている、陰陽五行論の世界もご紹介戴くことになりました。
韓国文化における陰陽五行論考察算命学
私の担当は「干支暦学の教育現場における活用考察」ですが、2回目の今回は早くも脱線して(汗)、3月末に訪れた韓国と陰陽五行にまつわる話題を徒然なるままに綴っていこうと思います。
今後もたまに韓国ネタで脱線するかもしれませんが、お許しください。
2003年に「冬ソナ」で韓国ドラマにハマり、それ以来、ハマったドラマのロケ地巡りのために何度渡韓したことでしょう⁈
恐らく30回近くになるのではないでしょうか⁈ 数えるのも恐ろしい(笑)
そんな私が今回初めて、ロケ地巡りではなく、統一新羅と日本の神社との関わりを研究している大学時代の友人に同伴して韓国を訪れました。
目指すは慶州!統一新羅王朝のあった地域。
韓国では、男子は陰陽五行に基づき命名されるというのは本当か?
慶州にある世界遺産や遺跡群は点在しているため、今回の旅の拠点としていた釜山からガイド付きツアーに参加。
友人は道中、これから訪れる仏国寺や石窟庵などの世界遺産建造物や慶州博物館内の展示物の予習をしていました。
私は日本語が堪能なガイドさんに、以前から気になっていた質問をぶつけてみました。
「韓国では、男子は陰陽五行に基づき命名されるというのは本当か?」というもの。
答えは「イエス」!(正確には五行説に基づき命名、女子の命名に法則は特にない)
そしてガイドさんは付け加えました。
「他には誕生日を干支で出し、自分に足りない五行の気を名前に加えてバランスをとることも多い 」と。
「お〜!」
期待通りの答えに興奮しました。
陰陽五行論とは何か?広島算命学
ここで陰陽五行論の説明を簡単にしておきます。
陰陽五行論とは陰陽説と五行説が統合したもの。
陰陽説とは、宇宙のありとあらゆるものは、有形無形を含め、夜と昼、男と女、奇数と偶数、積極的と消極的、能動的と受動的など、全てのものに相対するものが存在し、相対しながらも一つのものを形成しているという理論。
五行説とは、万物は木、火、土、金、水の5元素から成り、一定の循環法則に従って変化するという理論。
一定の循環法則とは相生理論です。
木が燃えて火を生じ(木生火)、その火は燃え尽きて灰(土)になり(火生土)、その土から鉱物(金)が生じ(土生金)、鉱物は冷えて表面に水滴が生じる(金生水)。そしてその水分が木を育て(水生木)、その木が燃えて火を生じ…と永遠に循環を繰り返すというものが相性理論です。
それに対し、木は根から土中の養分を奪って育つ(木剋土)。土は川の流れを止め(土剋水)、水は火を消す(水剋火)。火は金属を溶かし変形させ(火剋金)、金属はノコギリに形を変えて木を切り倒す(金剋木)、という相剋理論もあります。
わかっていただけましたか。
トルリムチャとハンヨルチャ
さて、話を戻しましょう。
男子の命名には五行相生理論を用います。これを「回り字」(トルリムチャ)とか「行列字」(ハンヨルチャ)と言うそうです。
例えば、おじいさんの代の名前に木偏(きへん)の漢字(「植、桂」など)を使うと、お父さんの代は木生火になるので、火偏(ひへん)の漢字(「燈、烈」など)を使います。
すると息子の代はどうでしょう?そう!火生土なので土偏(つちへん)の漢字(「培、基」など)を使います。
以下、土生金で孫には金偏(かねへん)の「錦、鎮」など、その子どもは金生水で氵(さんずい)の「淳、治」などを使うのです。
そして、そのまた子どもは水生木で、また木偏(きへん)に戻る、というふうに、木火土金水を回し、未来永劫に家系が続くように願って命名するそうです。
ただし厳密にいうと、家系と世代により使う漢字は決まっていて、おじいさんの代に「東」を使うと決まっていれば、おじいさんの兄弟は全員「東」を使うとのこと。
*東は日と木から成る漢字で偏は木
また、五行だけでなく、十干(甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)や十二支(子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)の漢字で回す家系もあるそうです。
最近では、「トルリムチャ」「ハンヨルチャ」にこだわらない両親も増えてきて、伝統、慣習を重んじる祖父母との間で揉めることもあるらしいです。個人的には、この伝統はぜひとも守り続けて欲しいと願います。
ペ・ヨンジュン裵勇浚氏 算命学
せっかくなので、日本でも有名になった韓国人俳優の名前を調べてみました。
まずは、ヨン様ことぺ・ヨンジュン(1972年8月29日生)、漢字名「裵勇浚」
壬 | 戊 | 壬 |
辰 | 申 | 子 |
氵(さんずい)の漢字を使っている!ということは、お父様の名は金生水で金偏(かねへん)、お祖父様の名は土生金で土偏(つちへん)が使われているのでしょうか⁈
ヨン様の生年月日から命式を出すと、地支は三合水局であり、水の多い命式です。この場合、守護神は水を遮る戊土になるように見えますが、これは忌神になります。
なぜかというと、もし戊土がなく、壬であれば見事な水性一気格。常人に非ずとなります。
8月という初秋の水一気格といなれば格が全く違う命式となり、もしそうであれば、恐らくヨン様にはならなかったかも知れません。
完璧すぎて私達のような庶民が愛すべきアイドルにはならなかったかも知れません。
この1点の土というのが彼の人の良さと、優しさのような気もします。
韓国には陰陽五行論が文化として根付いています。
その観点からみたら、彼の命式を観た名づけ人は、この土一点を惜しいと思ったか、この土を押し出すだけの水の力を名前に加えたのかもしれませんね。
ガイドさんが言われたように、「水」を補うために氵(さんずい)のつく漢字を使ったのかもしれません。ヨン様にお聞きしたいものです(笑)
イ・ビョンホン 李炳憲氏 算命学
私の好きなイ・ビョンホン(1970年7月12日生)、漢字名「李炳憲」はどうでしょう。算命学
癸 | 癸 | 庚 |
巳 | 未 | 戌 |
火篇(ひへん)の漢字です!お父様は木生火で木偏でしょうか⁈ビョンホンの息子の名前はジュンフくんとのことですが、漢字がわかりません。
火生土だから、漢字は土偏(つちへん)のはず。埻(ジュン)かな?埠(フ)かな?詮索するのは辞めておきましょう(苦笑)
イ・ビョンホン氏の生年月日をみると、夏の昏々と湧く《湧水》という命式です。清涼感がありますね。
名前の炳は、清涼感を強めているように感じます。
ガイドさんと話しているうちに、640年頃の新羅時代に建造されたのではないかと言われている、東洋最古の天文台「瞻星台(チョムソンデ)」に到着。
この天文台については、また別の機会に書くことにします。
どうでしたか。干支暦学と陰陽五行論に基づいた数理暦学を知っていると、大好きな韓国俳優やK-POPアイドルの名前の意味するものも見えてきませんか。
好きな事を通して文化を学ぶことの大切さを感じた、実りある旅でした。