このブログでは、時間の関係上セミナーでお伝えしきれない事を、少しずつ書いていきます。
数理暦学は、《東洋思想に基づく人間学》をテーマとしていますが、なぜ、ギリシャ哲学を説明するかというと…
今から2500年前にギリシャと中国において、《神話の世界を排除して、人間とは何か、どのように生きるべきか》を考えた思想家達が登場しました。
この自由思想はその後の中央集権体制の中で、永い間抑圧されてきましたが…
自由に考えることが出来、自由に発信できる私達!
あまりにも自由だからこそ、悩む人も多いのです。
《自分とは何か》《何を伝えたいのか》《どのように生きるべきか》というビジョンを持たないと、生きる意義を見失い、毎日が流れていくだけの人生になってしまいます。
情報が多すぎるからこそ、分からない!
そんな人たちに、《自分理解》へのヒントを歴史の中で見つけよう!というコンセプトで書いていきますので、もう少し古代ギリシャにお付き合いください!
出来る限り、分かりやすく書きますから…。
哲学の父といったら、ソクラテス 算命学
古代ギリシャの哲学者というと、ソクラテス・プラトン・アリストテレス。この3人は絶対に外せません!
民主政治の中心地、アテネで生まれたソクラテス。
人間とは何か、どのように生きるべきか…と考えた学問《哲学》の祖が、ソクラテスです。
Philosophyとは、 《知恵を愛する》という意味であり、Philosopher(哲学者)とは、《知恵を愛する人、知恵者》です。
オリンピックの誕生の地でもあり、勝ち負けに非常にこだわる国民性。
オリンピックの勝者に与えられたものは、賞金や黄金ではなく、オリーブの葉の冠です。
尊敬・名誉という無形のものを求めて戦うということからも分かる通り、勝ち負けに非常にこだわり、勝者としてのメンツをとても大切にしました。
この時代の知恵者とは、《自分の主張したことを、正しいと相手に思わせることが出来る、弁論の勝者、プレゼンスキルの優れているひと》でした。
事実の追究より、弁論技術があり、専門性の高い人、そういう人こそが、賢者、知恵者と言われていたのです。
集会など公の面前で自分の意見をいう、その内容より喋り方の上手な方が拍手喝采、知恵の勝者なり!
大したこと言っていなくても、聴衆を惹きつけた方が人気となり勝者となるこの風潮、現在の政治をみてもあんまり変わりはありませんね。
そんな風潮の中で、ソクラテスは《最大の智者とは、自分が無知であることを自覚している者》と主張したのです。
無知を自覚することこそがスタート地点、真理はそこから追究していくことが出来るのだ!と唱えたのです。
そのため、智者とは、《弁論が上手な者ではなく、たえず無知を自覚しながら、人間としての生き方を探求する者》であるとし、人々に無知を自覚させる方法として編み出したのが、《ソクラテスの問答法》というメソッドです。
ソクラテスの問答法 算命学
ソクラテスの問答法とは、まず、相手に自分が知っていると思っていることを喋らせます。
次に、それに対して徹底的に質問をします。質問をすると当然ボロがでますよね…
そのボロが出ることで、自分の考えが間違っている事に気づき、無知だった自分を知る…という方法です。
人材教育とソクラテス
この方法は、最近、新人研修でも活用されているようです。
順列もつけない、怒られた経験もない、褒めて育てる教育法で成長し、オマケにバーチャル感覚とリアルな経験がごっちゃになっているため、《出来ます!》と本人言っても、実際に現場に行かせると全く出来ない、使えない…
しかし根拠のない妙な自信はある…そんな若手社員に《お前は使えない!》というと、すぐに辞めるか、逆上する…
挙句の果ては、親まで出てくる、パワハラで訴えられるという人事の現場で、このソクラテス問答法が人材開発メソッドとして注目されています。
まず、自分の出来ると思うことをカウンセリングしながら、書面に書かせ、それに対して本当に出来るか確認をしていく。
自分が思っている《出来る》レベルと、組織が求める《出来る》レベルを本人に自覚させ、自己開発に役立てるという方法です。
あくまでも、相手が気が付くのを、指導者は手助けすることに留まるという姿勢ですが、これは人の性格を精緻に解析し、それに合わせたやり方をしないと、厳しい結果にも繋がります。
この方法が非常に有効な人と、逆上する人、その時は受け入れたふりをして、永い間かけて復讐してくる人、SNSなどで告発する人など、表面的には受け入れたように見えても、かなり繊細な人間解析をしないと難しく、指導者との相性も重要な要素です。
実際、ソクラテスも、みんな知ったかぶりをしていたのに、問答法で無知を自覚させたため、人々の反感を買います。
自己否定を受け入れることができなかった人達に、全く違う理由で告発され、処刑されてしまうのです。
自分が無知であることを知るというのは、気持ちのよいものではありません。
ソクラテスのように知識も経験もあり、自信のあるひとにとっては《無知の知》は有効で、生き方を美しいものにします。
そう考えると…
このメソッドは、新人教育より幹部教育にこそ必要な方法でしょう。
受けるだけの勇者がいれば…の話ですが。