プラトンの二元論、イデア理論

東洋と西洋海洋国家と大陸国家を読んで戴けた方には、運命学の歴史を紐解くのに、ギリシャ哲学に立ち寄っている理由が何となくお分かり戴けたかと思います。

数理暦学の理論は、古代中国の周易より発展した理論を編纂しており、暦学を主軸とした代数理論で人間の運勢を解析している学問です。

この知識の真髄は、約3000年間、ごく限られた学者に伝わる秘学として伝承、中国最後の王朝、清が崩壊、共産党国家樹立を契機に、その知識を有する学者達と共に、世界へ分布していった学問です。
その主な分布地は、台湾・香港・シンガポール・韓国、そして日本になります。

私はこの学問を、長崎に亡命された学僧より伝授された故高尾義政文学博士に、永年直接指導を受けられた清水南穂氏を通して習得する事が出来ました。

高尾氏が算命学と名付けた学問の、次世代への橋渡しという役割で研究を進めております。

私はこの学問を、《占い師になる為の学問》ではなく、日本人の心に寄り添う自然哲学という形で残していきたいと思っております。
その為、大陸色が強い所は日本の風土に合わせる必要があります。そして、同時に、大陸色の強い部分は、華僑の考え方を日本人が学ぶ分野としてより分けておく必要もあります。

高尾氏と清水氏は、自らを占い師と称しておられます。その為、敢えて算命学はそのまま《算命学》として残し、両氏の偉業を伝える役割を、当協会の前身であります《算命学カウンセラー協会》に委ねました。

数理暦学協会は、算命学理論を数理暦学及び干支暦学という名称に変え、平成時代の編纂作業を加筆を行いながら、展開して参ります。

AIによる新時代到来の今だからこそ、《人間とは何か?》という事は、改めてしっかりと考えなければならないと思っているのです。

そのため、比較文化論としてギリシャ哲学に再び戻りましょう。

ポピュリズムとは

プラトンは、その著書「国家」の中で、民主政治が段々と衆愚政治になってしまうことを危惧していました。

衆愚政治のことを、ポピュリズムといいます。

衆愚政治になり、民主主義という名のもとで愚者が権力を握ると、強権の独裁政治が始まり、民衆も愚衆であるため、愚かな独裁者を見抜けなくなり、崩壊に繋がると述べているのです。

それを防ぐ理想の国王とは、哲学者であり、「哲学者が統治者になるか」、「統治者が哲学を学んで知恵を身につけるか」のどちらかでなければ、国家の正義は守れないと主張しています。

プラトンの唱えた哲学とは何か…というと、有名なイデア論になります。

ちなみに…

プラトンは、最晩年の作品以外は、全てソクラテスを自分の著書に登場させて喋らせる形式で書いている為、どれがソクラテスでどれがプラトンの主張か分かりにくいのですが、中期以降の作品は全てプラトンの説であるというのが定説のようです。そのため「国家」では、ソクラテスがイデア論を述べていますが、プラトンの主張という説でこの話を進めていきます。

 

イデア論

イデアとは、英語のIdea の語源ですが、「考え方」や「思いつき」「概念」という現在の言葉より、イデアはもっと深い意味があります。

イデアを定義すると、理性による思考能力のことであり、「真の実在」という意味になります。

全てのもの(万物)は、《イデアの世界》と《感覚で捉える世界》という二元論で構成されている…というのが、プラトンのイデア論です。

イデアの世界が原因で、感覚で捉える世界が結果であり実体です。
イデアの世界こそ、永遠普遍の世界であり、眼や耳などの感覚で捉える世界は仮の実在です。

何だか解りにくいですよね… 表にまとめておきます。

イデアの世界 感覚の世界
原因 結果
実体 仮の実在
永遠不変 生成消滅
肉体

プラトンは著書「国家」の中で「洞窟の比喩」を用いてこのように説明しています。

地下の洞窟の中に、子供の頃からずっと手も足も首も縛られたまま、壁の前面しかみることの出来ない囚人達がいると想像してみて下さい。

彼らは縛られている為に、頭を後ろにまわすことは出来ません。

その彼らの背後から、人間や動物など色々なものの影絵を、ロウソクの灯火でかざしたとしましょう。
囚人達は壁の前面しか見えないので、子供の頃からずっと、この壁に投影された影絵しか見ていません。

つまり、囚人たちはその影絵が眼に映る全てであり、現実の世界、実体だと思っているのです。

この例話を用いて、プラトンは、私達の見ている世界は、この影絵のようなものだといいます。

本当の世界とは何か、真理とは何かというと、洞窟の外の世界、太陽に照らされた世界です。

囚人は、影絵しかない洞窟という先入観から抜け出して、本当の世界、すなわち洞窟の外の世界を見なければなりません。

一人の囚人が縛りを解かれ、自分たちの見ていたものは影だったのだと知ったとします。
しかし、影しか見ていない他の囚人達に、どうやったら、それが影に過ぎないことを、教えることができるでしょうか。

 

ポピュリズムとユートピア

プラトンは、肉体は老いて死ぬと消えていくものであり、魂を不死としました。

人間は魂と肉体から構成されており、魂がイデア界であり肉体は感覚界です。
魂はこの世に生まれると、肉体という牢獄の中に閉じこまれ、そのためにイデアの記憶があいまいになってしまいます。

魂には、かつて接したイデアの世界への憧れの情があり、それを原動力にしてイデアを想起しようとします。

知識を得るというのは、魂の持っているイデアの記憶を想起するものであり、知識を得ているように思っているが、それは魂が想いだしているに過ぎないとしたのです。

その例え話が、エルの神話です。

又、プラトンは、人間にとって大事なのは、ただ生きるのではなく、よく生きることだと述べています。

自分とは、《肉体+財産+地位》だと思い込んでいて、これに恵まれている人が幸福だと思い込みますが、それはあくまでも自分(=魂)に付属している付属物に過ぎないのだと説いています。

眼で見えたり、耳で聞こえるものは感覚界であり、すぐに消えるもので仮の実在です。

イデア界とは魂であり、それこそが真髄です。その魂を良くする為には、どうすれば良いかというと、道徳的に優れていることが大切だと説きます。

プラトンのイデア論は、中国の陰陽学と解釈に相違はありますが、彼のいう道徳とは老子の唱えた道徳と感覚的には同じで、善行を行う事こそが魂の真髄だと説いています。そのため、プラトンのイデア論は、理想論とされ、そのような者が王になる国をユートピア(理想郷)と言います。

韓国では、AIが政治解析をしている…なんていうニュースが話題になりましたよね。
AIが哲学者になりえるのか? 非常に難しい問題だと思います。

もしかしたら、今の時代は、政治的判断をAIが下す前の、最後のチャンスなのかもしれません。

自分とは何か?AIが答を出す前に、まずは自分で見つけてみましょう。